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戦国ラブドール
第4章 子供の時間
「俺が言いたかったのは、男ってのはそういう生き物なんだから仕方ないって話だ。お前が顔を傷付けたところで、問題は何も解決しないぞ」
「だって、あたしの顔が悪いって言ったじゃないか」
「だから、言葉が足りなかったのは謝る。だが、女だって似たような気持ちにはなるだろう? もし目の前に美丈夫がいて、お前に笑いかけてきたらどんな気分になる」
「そいつが仲の良い知り合いなら、機嫌が良いなと思うだけだ。初対面なら、警戒する。そうやって良い顔をして近付いてくる輩と話をして、気分の良い思いをした事は一度もないからね」
大海の返事に、虎之助は面を食らう。虎之助が知る限り、美丈夫に声を掛けられ微笑みかけられれば、女はうっとりとするものだ。根本的な考えの違い。これが大海との溝を作っているのではと思い、虎之助は深く訊ねてみた。
「そういった男に、惚れた事はないのか?」
「だから、そういう奴に良い思い出はないって言ったじゃないか。初めは調子の良い事を言っていても、結局そういう奴はあたしの顔しか見てないんだよ。あたしが何に興味があって、どんな事が好きなのかなんて、いくら話しても知ったこっちゃないんだから」