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戦国ラブドール
第4章 子供の時間
にべもなく返す大海に、虎之助はたじろぐ。自分でも相当に身勝手な言い分だと分かってはいるが、どうにか正論だと思ってくれなければ溝は埋まらないのだ。
「……よく分からないよ。慰み者と衝動的に襲いたくなるのと、何が違うんだい? 結局やってる事は一緒じゃないか」
「いや、気持ちが違う。全然違う」
「そんなのあたしには見えないから分からないよ。第一気持ちが違ってれば、同じ事をしてもいいのかい?」
言葉で抑えようとしても、なまじ大海は思考する女だからか納得する気配がない。
「……あーもう、面倒くせぇ! そんなもん、試してみれば分かるだろ!」
掴んだままの手首を引き寄せ、虎之助は強引に大海へ口付ける。大海の中に浮かぶのは、慰み者にされる嫌悪感。だが、本人は違うと言い張るのだ。少しでも理解した方がいいのかと、大海は閉じようとする心になんとか隙間を空けた。
「んっ……ふ」
上顎をなぞられて、どうしてか背中に鳥肌が立つ。息が上がるのに、体は空気ではなく虎之助の唾液を飲み込む。動いてもいないのに、心臓は高ぶる。何もかも、分からない事だらけだった。