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戦国ラブドール
第5章 壊れたドール
気まぐれに語る秀吉の言葉に、大海は血の気がいっせいに引いていく。下げ渡された時点で、秀吉に抱かれる覚悟など捨ててしまっていたのだ。それも小夜の前でなど、大海には耐え難い拷問だった。
「そ、それなら今日は、あたしだけを! 何も小夜まで、巻き込まずとも」
「いや、拙者はお前が顔を歪ませるところを見たいのだ。お前のように強い瞳を持つ女は、嫌がる姿の方が似合う。一人だけで抱かれても、お前は耐えるだろう?」
「っ、この……!」
勢いに任せて罵倒したくなる大海だが、秀吉が小夜の頭に手を伸ばせば縮みあがる。いくら大海より小柄とはいえ、秀吉は武士である。片手で小夜の首を捻りあげる事など、造作もない。ここは秀吉が主である長浜城。小夜を守るためには、ただ堪え忍ぶしかなかった。
「小夜。拙者はいいから、大海を可愛がってやりなさい」
「――はい、秀吉様」
小夜は大海の上に乗ると、月の輪が光る黒髪を掻き上げながら唇を重ねる。男とは全く違う、触れるだけで力の抜けそうな柔らかさ。ちろりと侵入してくる舌に、大海は思わず顔を背けた。
「やめろ、小夜っ……!」