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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
緩く走り始める電車。そのスピードに比例して緊張に胸が高鳴っていく。

──しかし、今日は梨子が思っているよりも早く変化が訪れた。

『え…っ!?』

まだ乗ってから十分も経っていないのにスカートの上からお尻を撫でられる感触。

『き、…気のせい?』

すぐにそう思ったが、その手は梨子が拒否しないのをいいことに更に露骨に臀部をまさぐり始めた。

『違…やっぱり、痴漢…!!でも…でも…』

男の手は爪を立てるようにぎゅうっとお尻の肉を鷲掴みにし、拙速にスカートをたくしあげる。

『いや…!これ、違う…いつもの人じゃ…』

痛みを帯びる一方的な行為。おそるおそる振り向けば、異様に目をぎらつかせた中年のサラリーマンらしき男と目が合った。

「…っ」

男は怯えた様子の梨子に“確信”したのか、微かに口元を歪めると下着に手をかける。

『や…』

必死で止めようと手を伸ばせば、男は梨子を壁に押し付けるように体重をかけ、更に腕を掴み無理矢理身動きするのを封じ込めてきた。

『痛っ…──怖い…!!』

恐怖にすくむ梨子に気を良くしたのか、男はぐいぐいと“ある行為”を連想させる動きで腰を押し付けてくる。

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