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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
そしてもう梨子が何も出来ないことを悟ると、今度こそ──まるで舌なめずりするような手付きで、下着をゆっくりとおろし始めた。

「ひ…」

冷たい空気が肌を撫で、お尻の割れ目があらわになるのを感じる。

『やめて…もういや!誰か──誰か助けて…っ!!』

そのまま下で色付く秘裂が無防備にさらけ出されてしまうのかと、その恐怖に涙が溢れた瞬間。

「──っ!?」

梨子はそれを留めようと伸びてきた手を視界の端で僅かに認め、直後、暴挙を働く男の息を呑むような声を背で聞いた。

自由になった体を庇うように横向きになり背後を窺えば、そこには、

「あ…」

先程どんなに頑張っても振りほどけなかったゴツい男の手を掴み上げ、まるで獲物を威嚇する猛獣の牙を宿したような目で無言のまま男を見下ろす──新谷の姿があった。

「せ…せんせ…」

電車内には次の停車駅名を知らせる放送が流れる。新谷は仕草で梨子に何も言わないように示し、次の駅に着いたところでその男を突き落とすようにドアの外に無理矢理押し出した。

「……」

梨子は乗降客で人が入り乱れる中誤魔化すように服を整え、改めてその思いがけない救世主を見上げる。

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