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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
梨子はビーカーコーヒー片手にカーテンを開いて回る新谷を目で追いながら何となく問うてみる。
「いや、いつもはもう一本早いのかな。先生って、時間内教壇で喋ってるだけに見えるけど実は授業の準備とか大変なんだよ。それに何と言っても、空いてるし」
「そっかあ。でも私、一本前のだと起きる自信無いや…。今日は?」
「はは、普通に寝坊。家はね、去年は近くにアパート借りてたんだけど…実家が両親が亡くなったまま空き家になってたから。まあ色々思うところもあって、そっちに移ったんだ」
「あ…、そうなんだ…ごめんなさい」
「あ、いや…こっちも変に気を遣わせちゃったな。ごめんごめん」
両親が亡くなったという話に、気まずそうにちびちびとコーヒーを啜る梨子。しかし新谷は何事も無いようにいつもの穏やかな笑みを浮かべ自身の席に座った。
「でも──今日は寝坊して良かったよ。大事にならなくて、ほんとに良かった。…ご両親には、どうする?…いや、やっぱり警察に突き出してやれば良かったかな。僕も咄嗟のことで…騒ぎ立てるのも嫌かと思って…」
「……」
梨子はその言葉にドキリとして新谷を見上げる。
「いや、いつもはもう一本早いのかな。先生って、時間内教壇で喋ってるだけに見えるけど実は授業の準備とか大変なんだよ。それに何と言っても、空いてるし」
「そっかあ。でも私、一本前のだと起きる自信無いや…。今日は?」
「はは、普通に寝坊。家はね、去年は近くにアパート借りてたんだけど…実家が両親が亡くなったまま空き家になってたから。まあ色々思うところもあって、そっちに移ったんだ」
「あ…、そうなんだ…ごめんなさい」
「あ、いや…こっちも変に気を遣わせちゃったな。ごめんごめん」
両親が亡くなったという話に、気まずそうにちびちびとコーヒーを啜る梨子。しかし新谷は何事も無いようにいつもの穏やかな笑みを浮かべ自身の席に座った。
「でも──今日は寝坊して良かったよ。大事にならなくて、ほんとに良かった。…ご両親には、どうする?…いや、やっぱり警察に突き出してやれば良かったかな。僕も咄嗟のことで…騒ぎ立てるのも嫌かと思って…」
「……」
梨子はその言葉にドキリとして新谷を見上げる。