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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
恐々と襟元から覗けばやはり、二つの突起が水着を押し上げてふっくらとその存在を主張してしまっている。
梨子が感じた違和感。それは、本来ならそこにあるはずの二つのパッドが入っていないことだった。
『家に…ううん、そんなはず無い…。だって、いつも通り…お母さんが夜の内に洗ってくれて、朝、自分で全部確認してバッグに詰めてくるのに…』
それはもう梨子が水泳を始めた小学生の頃からの習慣だった。基本的に大会云々より泳ぐことが好きで部活に向かう梨子は、授業で使う学校指定のスク水をそのまま部活にも使用している。それこそ毎日の日課で忘れるはずもない。
それに加えて今は、“よりによって”痴漢に開発されてしまったその部分を特に気にして日々を送っているのに──それを隠してくれる大切なものを忘れること自体あり得ないのだ。
真っ白に染まった脳内をたくさんの突発的な思考が駆け巡っていく。
そしてその中で残った、小さな小さな可能性。
『……誰かに……、取られた?……でも……それこそそんなはず…?』
朝からの出来事がフラッシュバックする。痴漢に遭って新谷に救われ、一緒におかしなコーヒーを飲んだこと以外すべてがノーマルな日常。
梨子が感じた違和感。それは、本来ならそこにあるはずの二つのパッドが入っていないことだった。
『家に…ううん、そんなはず無い…。だって、いつも通り…お母さんが夜の内に洗ってくれて、朝、自分で全部確認してバッグに詰めてくるのに…』
それはもう梨子が水泳を始めた小学生の頃からの習慣だった。基本的に大会云々より泳ぐことが好きで部活に向かう梨子は、授業で使う学校指定のスク水をそのまま部活にも使用している。それこそ毎日の日課で忘れるはずもない。
それに加えて今は、“よりによって”痴漢に開発されてしまったその部分を特に気にして日々を送っているのに──それを隠してくれる大切なものを忘れること自体あり得ないのだ。
真っ白に染まった脳内をたくさんの突発的な思考が駆け巡っていく。
そしてその中で残った、小さな小さな可能性。
『……誰かに……、取られた?……でも……それこそそんなはず…?』
朝からの出来事がフラッシュバックする。痴漢に遭って新谷に救われ、一緒におかしなコーヒーを飲んだこと以外すべてがノーマルな日常。