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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
『…ちがう、違う違う』
一瞬過った考えを打ち消すように、梨子は言い訳を考える。朝新谷から離れたのはトイレに行ったほんの数分。それよりはクラスが無人になる移動教室の時の方がチャンスもあるし、誰かの特定など出来るはずも無い。仲の良い女友達がふざけて悪戯しただけかもしれない。
『でも…、どうしよう…』
これが去年だったらそこまで気にしなかったかもしれない。でも今は──
「──あ、梨子?昨日ぶりー。今日早いねー」
「あ…」
そこまで考えて、バッグに手を突っ込んだまま固まってしまっていた梨子は、不意にクラスの違う同学年の部活メンバーに話し掛けられ慌てて笑顔を作った。
「う…うん、うちのクラス、今日ホームルーム早く終わって」
「いいなー、それが聞いてよ、うちのクラス昼休みに男子が馬鹿やってさ…って、何か梨子カオ赤いよ?風邪じゃね?」
「え?あ…そうかな?」
「そんなんで水入って大丈夫?あ、私一応部長と新谷に言っとくね!」
「あっ、」
彼女はそれ以外梨子の異変に気付いた様子も無く、荷物をロッカーに放り投げるとあっという間に更衣室を駆け出していく。
『……』
一瞬過った考えを打ち消すように、梨子は言い訳を考える。朝新谷から離れたのはトイレに行ったほんの数分。それよりはクラスが無人になる移動教室の時の方がチャンスもあるし、誰かの特定など出来るはずも無い。仲の良い女友達がふざけて悪戯しただけかもしれない。
『でも…、どうしよう…』
これが去年だったらそこまで気にしなかったかもしれない。でも今は──
「──あ、梨子?昨日ぶりー。今日早いねー」
「あ…」
そこまで考えて、バッグに手を突っ込んだまま固まってしまっていた梨子は、不意にクラスの違う同学年の部活メンバーに話し掛けられ慌てて笑顔を作った。
「う…うん、うちのクラス、今日ホームルーム早く終わって」
「いいなー、それが聞いてよ、うちのクラス昼休みに男子が馬鹿やってさ…って、何か梨子カオ赤いよ?風邪じゃね?」
「え?あ…そうかな?」
「そんなんで水入って大丈夫?あ、私一応部長と新谷に言っとくね!」
「あっ、」
彼女はそれ以外梨子の異変に気付いた様子も無く、荷物をロッカーに放り投げるとあっという間に更衣室を駆け出していく。
『……』