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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
「──僕はてっきり……毎日痴漢に調教された乳首が恥ずかしくて、サボろうとしたんじゃないかなって思ったんだけど……違う?」

「…………っ、せ…んせ…ぃ」

甘く囁きかけるように発せられる言葉と…そっと指先で示された上着のポケットの中に見えたある物。

梨子は一気に体中の筋肉が凍り付くのを感じ、そのくせ顔や耳だけ異様に熱くて、高熱にうかされている時のように目に涙が浮かぶのを感じた。

『何…どうして…、どうして先生が…先生…』

何度も何度も自身に問うても──もう答えは一つしか見付からない。

今日に限って何故都合良く新谷が梨子を助けることが出来たのか、何故今の梨子の状況を知っているのか……

信じられないという生徒としての肯定的な気持ちと恥ずかしいという性に疎い子供らしい気持ちと、怖いという弱者の気持ちと──しかし腕の下で隠れている突起は確実に、痛いくらい、悲しいくらいに“嬉しい”──と訴えかけてくる。

「──変態」

「あ…、…っ…!」

そして、変わらない笑みで投げつけられたその一言に──梨子はがくりとその場に崩れ落ちた。


「──部長!」

「はーい。…えっ、梨子ちゃん?!」

その瞬間、新谷は狙っていたかのように教師の顔に戻り三年生を呼ぶ。

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