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アペリチーフをご馳走に。
第1章 アペリチーフをご馳走に。
「…梨子」

「…っ、もう…無理、恥ずかしい…」

たどたどしく、精一杯の返事に頬を真っ赤に染めて、潤んだ目を反らす梨子──愛奴ににっこりと笑い、額に、頬に…唇にキスを落とす仁。

「今はそれで充分。ありがとう、すごく嬉しい」

「…先生…」

「でも一つ約束して」

「約束?」

「うん。一番大事なことだから、ちゃんと覚えておくんだよ。…梨子はもう先生のものだけど、先生も同じように梨子のものだ。でも新谷先生は先生だから、どうしても他の女の子達にも優しくしなきゃいけない。梨子にはそれが不安かもしれないけど、…仁先生は絶対、梨子だけにしか優しくしないから。それを忘れないで、っていう約束。わかった?」

「うん……はい、仁先生」

「よし、いい子。…良かった」

「……」

ぎゅっと抱き締められ、梨子もまた安心したように体の力を抜く。

まずはその方法や手順を怒るべきだったかもしれない。でもそんなことを出来ない程に理性を吹き飛ばされてしまった。

恋人としては普通の願いだろうが、奴隷としては過ぎた願いだろうか。本能的にそれを感じ、言い出せずにいた梨子に仁は笑う。

「今度、ちゃんとデートしようね」

「…先生、やっぱりずるい」

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