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紅蓮の月~ゆめや~
第9章 第三話 【流星】 プロローグ
透き通った飴の表面に砂糖がまぶしてあって、陽の光にキラキラと光って見える大玉の飴は本当に宝石のように見えた。
駄菓子屋の隣の豆腐屋には、六十過ぎくらいのおじさんがいた。奥さんと二人で朝早くから店を開けていて、美都は母に頼まれて二つ下の弟と何度もおつかいにいった。美都が行くと、「ちゃんとおつかいができるのか、偉いなぁ」とおじさんは、少し大目の豆腐を持っていった器に入れてくれた。その後でおじさんが弟を抱き上げて肩車をすると、弟はキャッキャッとはしゃぎ声を上げた。そのやり取りを奥さんが優しそうな眼で見ていた。
美都は、無意識の中(うち)にかつて駄菓子屋や豆腐屋であった店の前で立ち止まっていた。今も瞼に駄菓子屋のおばさんの笑顔や豆腐屋のおじさんの一徹な顔が浮かんでくる。だが、眼を開いたそこにあるのは、とっくに辞めてしまった空き店だけだ。
駄菓子屋の隣の豆腐屋には、六十過ぎくらいのおじさんがいた。奥さんと二人で朝早くから店を開けていて、美都は母に頼まれて二つ下の弟と何度もおつかいにいった。美都が行くと、「ちゃんとおつかいができるのか、偉いなぁ」とおじさんは、少し大目の豆腐を持っていった器に入れてくれた。その後でおじさんが弟を抱き上げて肩車をすると、弟はキャッキャッとはしゃぎ声を上げた。そのやり取りを奥さんが優しそうな眼で見ていた。
美都は、無意識の中(うち)にかつて駄菓子屋や豆腐屋であった店の前で立ち止まっていた。今も瞼に駄菓子屋のおばさんの笑顔や豆腐屋のおじさんの一徹な顔が浮かんでくる。だが、眼を開いたそこにあるのは、とっくに辞めてしまった空き店だけだ。