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紅蓮の月~ゆめや~
第9章 第三話 【流星】 プロローグ
自分を取り囲む空気の流れが変わったような、まるで気の流れそのものがピタリと静止したような感じだ。更に回りの見えない壁がグニャリと歪み、亀裂が走った。まさにその時空にできた穴に吸い込まれるような錯覚に陥り―美都は小さな悲鳴を上げた。
意識が次第に間遠になってゆく。このまま死んでしまうのではないかと思うほど、息苦しい。美都は息も満足にできない苦悶にもがいた。どこかで柱時計が刻(とき)を告げる音が遠く聞こえていた。