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紅蓮の月~ゆめや~
第10章 第三話 【流星】 一
所顕とはいわば美耶子が兼家の妻となったことを晴れて世間に公表する儀式である。兼家がこの体裁を整えてくれたということは即ち美耶子を正式な妻の一人として認めたということでもあり、美耶子もまたその父倫寧にしても大いに面目を保つことができた。
その後も三日に一度は律儀に通ってくる。
来られない日は夕刻までには必ず文を寄越し、それなりの理由―かなり言い訳めいものではあったが―を伝えてきた。つまり、兼家は妻としての美耶子にそれなりの待遇をもって接しているわけであり、兼家なりに美耶子を尊重してくれているのである。兼家は美男というわけではなかったけれど、話し上手で穏やかな物腰をしており、どんな人間に対しても好印象を与える男だった。
その後も三日に一度は律儀に通ってくる。
来られない日は夕刻までには必ず文を寄越し、それなりの理由―かなり言い訳めいものではあったが―を伝えてきた。つまり、兼家は妻としての美耶子にそれなりの待遇をもって接しているわけであり、兼家なりに美耶子を尊重してくれているのである。兼家は美男というわけではなかったけれど、話し上手で穏やかな物腰をしており、どんな人間に対しても好印象を与える男だった。