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紅蓮の月~ゆめや~
第12章 第三話 【流星】 エピローグ
二十年ぶりに訪ねたこの町は、すっかり変わり果てていた。かつて商店街として賑わった店々はどこもとうに営業を辞めていた。その中にたった一つだけ、今でも当時のままの佇まいで商いをしている店があった。「ゆめや」という小さな古着屋だ。「ゆめや」には愕くべきことに、美都が子どもの頃に見た美しい女主人と瓜二つの女性がいた。
「ゆめや」に置いてある紅梅襲の袿を身にまとった瞬間、美都は不思議な「夢」を見た。それは平安時代に生きた藤原兼家の妻の記憶であった。
「嘆きつつひとりぬる夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」
美都は小さな声で呟いた。
「ゆめや」に置いてある紅梅襲の袿を身にまとった瞬間、美都は不思議な「夢」を見た。それは平安時代に生きた藤原兼家の妻の記憶であった。
「嘆きつつひとりぬる夜のあくるまはいかに久しきものとかは知る」
美都は小さな声で呟いた。