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紅蓮の月~ゆめや~
第13章 最終話 【薄花桜】 プロローグ
プロローグ
しんと冷たく静まり返った店の窓辺に佇んで、彼女は外の気色を眺めていた。ひっそりと立つその姿は華やかな美貌でありながら、透けて見えるのほどの儚さを秘めている。灯(あか)りもつけない小さな店の中は、ただ雪明かりだけに照らされていた。彼女の儚げな様は、今にも店の内に潜む陰に溶け込んでしまうのではないかと思うほど、現実感がない。確かに、その場所に存在しているというのに、まるで現(うつつ)ならぬ存在であるかのようにさえ見える。
しんと冷たく静まり返った店の窓辺に佇んで、彼女は外の気色を眺めていた。ひっそりと立つその姿は華やかな美貌でありながら、透けて見えるのほどの儚さを秘めている。灯(あか)りもつけない小さな店の中は、ただ雪明かりだけに照らされていた。彼女の儚げな様は、今にも店の内に潜む陰に溶け込んでしまうのではないかと思うほど、現実感がない。確かに、その場所に存在しているというのに、まるで現(うつつ)ならぬ存在であるかのようにさえ見える。