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紅蓮の月~ゆめや~
第13章 最終話 【薄花桜】 プロローグ
陶製の西洋人形を思わせる白磁の肌は光沢があり、しっとりした長い黒髪は頭の後ろで一つに束ねている。黒曜石のような瞳は冴え冴えと濡れたような輝きを帯び、形の良い唇は朱を点じたようだ。まさに熟練の職人が精魂込めて創り上げた奇跡のような美しさである。少し明るめの紫色の着物に錆朱色の帯がなめらかな白い肌を際立たせている。着物には桜の花の裾模様がごく控えめに入っている。それはこの季節には不似合いな柄ではあったが、彼女の美しさをいささかも損なうことはなかった。
彼女は物も言わず、ただ窓辺の向こうにひろがる気色を眺めていた。さらさらとした粒子の細やかな雪が絶え間なしに鈍色の天(そら)から舞い降りてくる。低く垂れ込めた雲間から落ちてくる雪はもうかなり積もっていた。
彼女は物も言わず、ただ窓辺の向こうにひろがる気色を眺めていた。さらさらとした粒子の細やかな雪が絶え間なしに鈍色の天(そら)から舞い降りてくる。低く垂れ込めた雲間から落ちてくる雪はもうかなり積もっていた。