この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
紅蓮の月~ゆめや~
第14章 最終話 【薄花桜】 一
 が、幸いなことに、弥生になっての温かさで治助は何とか持ち直し、小康状態を得ている。そのことで、小文はどれだけ安堵したか知れたものではない。治助が病に倒れたのは、今から一年前の春のことである。
 あの日もこの季節のように洛中の桜が盛りを迎えようとしており、都は薄桃色の霞(もや)に包まれたようになっていた。小文は治助と二人で近くの寺まで詣で、ついでに花見を済ませてきた。その帰途、往来で治助が突然胸を押さえて蹲った。それまで病知らずで健康そのものであった良人の突然の異変に、小文は狼狽(うろた)えた。小文の前で治助は大量の血を吐いて倒れた。
 それがすべての始まりであった。以来、治助は床から離れらず、病床に伏す身となった。小文はすぐに町でも名医と名高い医者に診せた。治助は労咳を患っていた。小文は金銭を惜しまず、良人のために高価な薬を取り寄せた。高麗人参が効くと耳にすれば、早速薬種問屋に出かけた。
/255ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ