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紅蓮の月~ゆめや~
第4章 紅蓮の月 エピローグ
帰蝶が信長を心から愛し、信長もまた帰蝶を大勢の女性たちの中で最も愛おしんだことを。帰蝶は信長の子を生むことはなかったけれど、終生良人に影のように寄り添い、同じ夢、理想を見続けた。もしかしたら、当時の女性としては、それは幸せな生き方だったのかもしれない。あのたった一瞬の夢の中で、実幸の意識には大量の他人の意識が流れ込んできた。それは、帰蝶、否、濃姫が辿った信長の妻としての生涯の記憶であった。
「彼女は幸せだったのですね」
実幸は美しい女主人に言った。
紫の着物の似合う美しいひとは艶やかに微笑む。
「あなたがそのようにお感じになったのなら、間違いなくお幸せだったのですわ」
実幸は頷いた。
四年間付き合った彼氏にフラレたのも、随分と昔のことのように思える。実際にはまだ一時間ほどしか経っていないのだけれど。
「彼女は幸せだったのですね」
実幸は美しい女主人に言った。
紫の着物の似合う美しいひとは艶やかに微笑む。
「あなたがそのようにお感じになったのなら、間違いなくお幸せだったのですわ」
実幸は頷いた。
四年間付き合った彼氏にフラレたのも、随分と昔のことのように思える。実際にはまだ一時間ほどしか経っていないのだけれど。