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紅蓮の月~ゆめや~
第4章 紅蓮の月 エピローグ
結果は、喜六郎の考えていたとおりであった。小巻がこっそりと喜六郎の部屋に入って手文庫を開け、売上金を持ち去ったのである。そして、その罪をお彩に被せたのであった。
何故そんな馬鹿なことをしたと問うた父に、小巻は泣きながら訴えた。自分はお彩を妬んでいたのだ、と。
それは外見の美しさにしか己れの価値を見出せぬ女の悲哀であった。
「お彩ちゃんにはいくら詫びても足りねえところだが、どうか俺に免じて今回だけは許してやってくれねえか」
喜六郎がその場に手をついた。
「止して下さいよ。旦那さん」
お彩が慌てて言った。
何故そんな馬鹿なことをしたと問うた父に、小巻は泣きながら訴えた。自分はお彩を妬んでいたのだ、と。
それは外見の美しさにしか己れの価値を見出せぬ女の悲哀であった。
「お彩ちゃんにはいくら詫びても足りねえところだが、どうか俺に免じて今回だけは許してやってくれねえか」
喜六郎がその場に手をついた。
「止して下さいよ。旦那さん」
お彩が慌てて言った。