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紅蓮の月~ゆめや~
第5章 第二話【紅蓮の花】 プロローグ
父のためにも新しい義母と仲良くしようと花凛なりに努力したのだ。だが、相手の女性は違っていた。父のいる前では、いかにも優しげな母親であるようにふるまうけれど、父がいないときには何かと嫌味を言ったり無視したりする。
再婚後ほどなく継母は妊娠したが、あえなく流産した。以後、継母の花凛への嫌がらせは酷(ひど)さを増した。父から花凛は継母がそのせいで二度と子どもの生めない身体になってしまったことを知らされた。その哀しみと衝撃からくる反動がもろに継子である花凛に向かってきたのかもしれない。継母の表面だけの優しさしか見ていない父親には、真実は判らない。花凛は毎日、暗い日々を送っていた。 学校に行っている間は、家のことを忘れていられるけれど、放課後近くなってくると、心が沈みがちになってくる。今日もまた、あの継母の待つ家に帰らなければならないのかと思うと、自然に足取りは重くなった。
再婚後ほどなく継母は妊娠したが、あえなく流産した。以後、継母の花凛への嫌がらせは酷(ひど)さを増した。父から花凛は継母がそのせいで二度と子どもの生めない身体になってしまったことを知らされた。その哀しみと衝撃からくる反動がもろに継子である花凛に向かってきたのかもしれない。継母の表面だけの優しさしか見ていない父親には、真実は判らない。花凛は毎日、暗い日々を送っていた。 学校に行っている間は、家のことを忘れていられるけれど、放課後近くなってくると、心が沈みがちになってくる。今日もまた、あの継母の待つ家に帰らなければならないのかと思うと、自然に足取りは重くなった。