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紅蓮の月~ゆめや~
第6章 第二話【紅蓮の花】 一
義経は乳飲み子の折に平治の乱で父義朝を失い、幼くして母常磐とも別れて鞍馬寺に入ったが、仏道修行の途中で寺を脱走した。ひとえに兄頼朝と共に打倒平氏を夢見ていたからだ。義経が鞍馬寺を出た頃、頼朝もまた平氏によって伊豆に流された一流人にすぎなかった。それが伊豆の地方豪族北条時政の娘政子を妻に得たことにより時政の後ろ盾を得、徐々に力を溜めていったのである。
鞍馬寺を出奔した義経ははるか北の奥州平泉の雄藤原秀衡を頼った。秀衡の庇護により長じた義経は兄頼朝の挙兵を聞きつけ、鎌倉に馳せ参じた。以来、義経は義兄のために数々の戦で軍功を立て、戦神(いくさかみ)のごとき働きを見せた。一時は兄の怒りを得て謹慎を申し渡されたものの、許されて後は壇ノ浦に平家を滅ぼし、その戦いにおいても凄まじい戦いぶりだった。頼朝の今日あるは、すべて義経の助力あってこそと言っても過言ではない。
鞍馬寺を出奔した義経ははるか北の奥州平泉の雄藤原秀衡を頼った。秀衡の庇護により長じた義経は兄頼朝の挙兵を聞きつけ、鎌倉に馳せ参じた。以来、義経は義兄のために数々の戦で軍功を立て、戦神(いくさかみ)のごとき働きを見せた。一時は兄の怒りを得て謹慎を申し渡されたものの、許されて後は壇ノ浦に平家を滅ぼし、その戦いにおいても凄まじい戦いぶりだった。頼朝の今日あるは、すべて義経の助力あってこそと言っても過言ではない。