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ブルジョアの愛人
第11章 木曜の雨に酔えば

今回の話題は、夫婦の営みについてだった。

友人はつい先日、妻の留守中に印鑑を探していたところ、引き出しから極太バイブやローターを見つけたのだという。そのとき初めて、夜の夫婦生活がもう十年近くないことに気づいたのだとか。

「浩ちゃんとこはどうなんだよ。まさかあのべっぴんさんと何年もヤッてないわけじゃないだろ」

浩晃は正直に、娘が産まれてからは一度しか妻とセックスをしていないと答えた。

だが友人は大して驚くふうでもなく、やっぱりそうか、と諦めたように溜め息をついただけだった。

「まあ俺も、今さらあんな三段腹見て勃つわけもないんだけどな…」

友人は自嘲気味に笑い、自らの性器を擦るような仕草をした。

そういえば、莉菜と関係を持ってから彼に逢うのは初めてである。

前回一緒に呑んだのはちょうど半年前、年末だったから、莉菜と初めて身体を重ねる四ヶ月前ということになる。浩晃は莉菜とまだ二ヶ月ちょっとしか付き合っていないのだ。

その二ヶ月の間に自分はどれだけ莉菜のことを知ったのだろうと、愛想のない妻を罵る友人に相槌を打ちながらぼんやりと考えていた。
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