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ブルジョアの愛人
第22章 おとなツインテール
玄関の前でぼんやりしていると、先程の女性が小走りで戻って来た。
「すみません、教頭が留守だったこと今思い出しました。私、あと帰るだけなので案内しますよ」
わざわざ走らなくても良かったのに。彼女は息を切らせ、どうぞ、と扉を開けてくれた。
「すみません、お帰りのところ引き留めてしまって」
「お気になさらず。大塚先生呼んで来ますので少々お待ちくださいね」
事務の川本という女性は、職員室の応接コーナーではなく空いている特別教室へ案内してくれた。顔見知りの教員が皆転任してくれていたのが幸いだった。
最初から大塚に逢うつもりで来たのに、いざ逢うとなるとやはり緊張する。掌は汗でびっしょりだった。
五分ほどして、扉が開いた。口から心臓が出そうだ。
扉の方を見ると、相変わらずのジャージ姿の大塚がこちらを見ていた。あっちも樹里に掛ける言葉が見つからないのだろう。小さな目が泳いでいた。
「お久しぶりです、大塚センセ」
「あ、うん、久しぶり。…大きくなったね」
親戚のおじさんのような言葉に思わず噴き出した。
「ごめん、あと三十分待ってもらえればゆっくりお話できるんだけど」
そういえば、まだクラブ活動の時間だ。樹里は大塚の仕事が終わるまで待つことにした。