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ブルジョアの愛人
第23章 幸せは彼へのお礼

小学校に比べれば、中学校の三年間など笑ってしまうぐらい早く、呆気なかった。

大学へ行くつもりはさらさらなかったので、資格のとれる商業高校へ通いながら高校近くのドーナツショップでアルバイトをした。祖母はあまりいい顔をしなかったが、莉菜は大して気に留めなかった。

のちに夫となる大橋秀隆と出逢ったのは、そのドーナツショップだった。莉菜が働き始めたとき、彼はチーフだった。大学生のときからここで働いているという話を聞いたときは本当に驚いた。

彼は手先が不器用で、未だに卵を割るのが恐ろしく遅いのだ。五年以上働いているとはとても思えなかった。

莉菜も手先は器用な方ではないので、レジに回されることが多かった。だから大橋とは入店当時から関わる機会は多かったのだが、まさか彼と結婚までこぎつけるとは思ってもみなかった。
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