この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ブルジョアの愛人
第23章 幸せは彼へのお礼

だがそんな幸せな日々が訪れる前に、祖母が亡くなった。莉菜が高校一年生のときだった。

病院嫌いが災いし、健康診断で異常が見つかったときには遅かった。祖母の身体は、ほとんど癌に冒されていたのだ。

医師との相談などは、祖母の妹が行った。莉菜もそれで良かったと思う。本人の意向で投薬治療はしないこととなり、祖母は薬臭い病院でただそのときを待ち続けた。

いつしか莉菜は、祖母を恨めなくなっていた。

喪主はやはり祖母の妹が務めた。今度は祖父のときほど肩身の狭い思いをすることはなかったが、あんな孫と暮らして、おばあさんが可哀想、という参列者の胸のうちは手に取るように分かった。

これからどうしようか迷っていたところで、祖母の妹に、うちに来るよう言われた。正直嬉しかった。自分は親戚中の嫌われ者だと思っていたからだ。

いや実際はそうだったのかもしれない。祖母の妹も体裁を取り繕うようなことでの誘いだったのだろう。それでも嬉しかった。

葬式を終え、三人で住んだ家を引き払い、祖母の妹宅への引っ越しも無事終えた夜、封筒を渡された。

「自分の部屋で読みなさい」

独身の大叔母は早々とひとりきりの寝室へ消えた。あまり読む気になれなかったが他にやることもないので、布団に入って開けてみた。

入っていたのは便箋四枚と、便箋と同じ枚数の紙幣。福沢諭吉だった。
/202ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ