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ブルジョアの愛人
第3章 二人の少女
一時間目の社会、二時間目の算数は特に何もなく過ごしていたのだが、三時間目の体育は、ただでさえ憂鬱なのに、更に莉菜を憂鬱にさせた。
更衣室の隅で体操着に着替えながら、風邪だと嘘をついて見学してしまおうかと本気で考えていた。
しかし、莉菜はそれを躊躇った。
五年生に進級してまだ二ヶ月と少しだが、莉菜はもう体育を五回程見学している。
先生に見学を申し出た後は、決まって樹里のグループに「ずる休み」と言われるし、先生もいい顔はしない。
本当は生理痛がひどくて見学したい時もあるのだが、教育大を卒業したばかりの男性教師に「生理なので見学します」なんて堂々と言おうものなら、樹里のグループから「若い男性教師を誘うビッチ」のレッテルを貼られてねちねちとからかわれ、男子にも面白がられるだろう。
そんなことで勘違いされるのは大変不本意であり、屈辱だ。莉菜が愛しているのは、若い男というだけで保護者からちやほやされていい気になっている教師などではなく、浩晃なのだから。