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ブルジョアの愛人
第3章 二人の少女
準備運動を終えると、今日の授業の中身に入る。五月、六月は、マット運動の授業をやっていた。
まず二人一組のグループを作り、マットの上で身体をほぐす運動をするのだが、莉菜のクラスは児童の数が奇数なので、毎回莉菜が余る。
教師もそれを分かっているのだが、樹里のグループが怖いので、グループは教師が決めず好きな人同士で組ませている。そして、仕方がないので教師はあぶられた莉菜の相手をしてやっていた。
「小林さん、膝曲がってるよ」
若い教師、大塚は、前屈をする莉菜の小さな背中を押しながら呆れる。
大塚が呆れるのも仕方がない。精一杯身体を前に倒しても、莉菜の指先は爪先から程遠い場所にあった。
「すみません…」
莉菜は泣きそうになりながら大塚に謝り、ちらりと周りの子を見る。
皆、指先は運動靴の爪先につくかつかないかぐらいまで伸びている。涼しい顔で土踏まずの部分を掴んでいる子もいた。
莉菜は恥ずかしくなって思いっきり身体を前に倒すが、いくら苦しくても指先はまだ爪先には届かない。