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ブルジョアの愛人
第3章 二人の少女
大塚には全く分からなかった。彼女が求めているものなんて。
金も友達もクラスでの地位も不自由することのないお嬢様。大塚からすれば、生きていて楽しいんだろうな、という多少の羨望と嫉妬がある。
大塚は気づいていないのだ。いじめをする子どもというのは、自分でも知らないうちに何かに劣等感を抱いているから無抵抗なものを痛めつけて鬱憤を晴らしているということに。
樹里もそうだった。無意識のうちに自分の地位が不安定であることを察知し、それを隠すために莉菜という友達が少なく大人しいクラスメイトをターゲットにした。
友達といる時も、自分が仲間外れにされるのではないかという不安に襲われる時も――莉菜をひたすら見下し、馬鹿にすれば自分の地位が高いままでいられる。
しかし、親である浩晃も浩晃の妻も、そんな樹里の心の闇には気づけないでいた。