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ブルジョアの愛人
第4章 大好きな先生
運動があまり得意ではない莉菜が、わざわざ一輪車クラブに入部した理由――それは真緒と陽平に誘われたからだ。
クラスで逢えないから、せめて放課後だけでも二人に逢いたい。新しく友達を作る気など毛頭ない莉菜は、そんな思いからこのクラブに入部し、だが練習ををサボるわけでもなく一生懸命やっている。
真緒は莉菜のその気持ちをちゃんと分かっていた。だから真緒はクラブを決める時、文化系のクラブにしようかとも思ったのだ。しかし、莉菜に運動を好きになって欲しいという思いもあり、結局陽平と一輪車クラブに誘った。余計なお世話だと分かっていても、そうせずにはいられなかった。
それに、莉菜が体育の授業で活躍するようなことがあれば、それをきっかけに莉菜もクラスの皆と打ち解けられるかも知れない。でも、サッカーやバスケットボールなどは練習が辛いと聞いた。それでは莉菜が可哀想だ。何の運動系クラブなら莉菜も楽しく活動できるか――真緒の頭に思い浮かんだのは、一輪車クラブだったのだ。
真緒は莉菜の小さな両手を握り、ぐらつきながらも一輪車を漕ぐ莉菜に声援を送りながら、心の中では大好きだよとラブコールを送った。