この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ブルジョアの愛人
第4章 大好きな先生
莉菜は、そんなに自分は嫌われているのかと肩を落としていた。
「放っとけばいいじゃん。莉菜だっていつも嫌な思いさせられてるんでしょ」
真緒は冷たく言い放つ。樹里を快く思っていないからだ。真緒は、いつも莉菜が樹里にクラスで何をされているのか知っている。
だから、嫌い。大好きな莉菜を傷つける樹里が、何よりも憎い。だが――
「でも、もし転んだら大変だよ。捻挫だったりしたら、ちゃんと手当てしないと…」
莉菜は樹里を心配するのだ。いくら自分が嫌なことをされても放っておけない。なぜなら、浩晃の娘だから。
莉菜は優しすぎるんだと真緒は思う。だから樹里のような子につけこまれて、いいように扱われてしまう。守ってあげたいのに、一番莉菜のことを想っているのは私なのに――真緒はつい苛立ってしまう。
「じゃあ練習やめて青木さんについててあげれば?」
苛立ってしまうから、心にもない言葉が口をついて出てしまうことも、ある。莉菜は驚いた表情を見せた後、すぐに悲しげに顔を歪めた。