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ブルジョアの愛人
第9章 秘密はご馳走
「来てくれてありがとう」
祖母が三人分のお茶を置いて行った後、莉菜は少し恥ずかしそうに笑った。あんなことがあってもまだ友達でいてくれ、その上心配してくれているというのが嬉しいのだ。
「私、もう学校行けないかもしれないって思ってたんだけどね…」
「やだ、泣かないでよ」
莉菜が泣き出すのを見て、つい真緒も目頭が熱くなる。そっと柔らかいパジャマの背中に触れると、温もりが掌に広がった。
だが、それを見た優々は複雑そうな表情である。自分が入り込めない友情を見せつけられた気がしたのだ。
沙良たち四人は自宅謹慎中だ。昨夜はペディキュアの親が謝罪に来て、今夜は愛海の親が来る。莉菜は、祖父の妙に落ち着いた、嵐の前のような声を思い出していた。
ヒステリックに相手をなじり倒す祖母とはうって変わり、祖父は莉菜がどれほど傷ついたかを冷静に話した。そして親を叱った。いじめをするような子どもは、絶対に何か悩んでいるのだ、と。
二階でそれを聞いていた莉菜は、布団を被って泣いた。