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自由という欠落
第6章 もつれていく
「『オセロー』成功を祝って、みんなにお疲れ様を込めて……」
「「「乾杯!!!」」」
シャーリーテンプルのグラスを掲げたゆきに続いて、一同、ドリンクを宙に上げた。
のはなはホワイトウォーターを傾けた。同級生らの中では早くも飲酒している話もあるが、とてもそうした勇気は出ない。
「みんな、本当に今日はお疲れ様です。有り難う。先輩がたも、最後まで有り難うございました」
「私達は暇だったしね。最後の青春。ありがと、部長」
「私も呼んでくれて有り難う、ゆき。舞台出てないから、なんか打ち上げだけお邪魔人だけど」
「ううん、お姉ちゃんも有り難う。追いコンまで仲間だよ!本番は前列で観ててくれたのは、ちょっと恥ずかしかったけど……」
瞬く間に賑わいの増す宴席で、三回生、四回生らは、どこか感慨深い面持ちで飲み交わしていた。
まもなくして料理が運ばれてきた。従業員が襖の側に膝をついて、いかにして運んできたのか分かりかねるほどの品々を、手際良くテーブルに並べていく。
五種の焼き鳥が四人前と、ささみのサラダ、チキンとチーズの春巻きが三人前、つくねの照り焼き、竜田揚げとタルタルソースに茹でキャベツ、鶏ガラスープが二人前。…………
のはなはまひるが取り分けてくれたサラダのドレッシングに感心して、一歩が置いてくれたスープの味に溜め息をついた。