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自由という欠落
第8章 痛みと親愛


 のはなの匂いは、蒸した胡桃をバターミルクに浸した感じがした。甘くまろやかな少女の匂いが立ち昇る。

 まひるは部屋着の紐を掴んで、その先の行動に許可を求めなかった。のはなが首を横に振ったところで、従えない。何度キスしても足りない唇にまた唇を重ねて、直接見せて、とだけささめくと、彼女を一糸まとわぬ姿にした。


「綺麗……」


 自然と口を衝いて出た。

 ただ一点、のはなの乳房の両側に、珍しい菱形の焦げ跡らしき疵があった。痣にしては痛々しい。
 不可解な刻印に触れても痛まないかを確かめるべきだろうに、長い夜も永遠ではない。まひるはそれまで着痩せしていただけだったたわわな乳房を揉みしだきながら、露出した肌に口づけていく。肩に鎖骨、脇、臍の周り──…。乳首を甘噛みしててろてろと舌の先でつつくと、のはなの身体が苦しげにたわんだ。


 余すことなくキスをして、すみずみまで触れた気がする。最初で最後のような気がした。この一度だけで誰よりのはなを知る存在になりたい、無謀な意識に追い立てられて、まひるはのはなの泉門を探っていく。


 のはなの脚と脚の間の肉薔薇は、まひるの指を躊躇いなく受け入れた。学校に通うようになった当初、心陽が頻りと持ち出したがっていた恋愛話に乗り気でなかったのはなは、自称通り自分以外の人間の一部を受け入れ慣れていた。
 指でも抵抗をいだく処女は、珍しくない。だのにのはなは、痛ければ言って、と前置きしたまひるに、その可能性を否定した。ほぐれた膣内に指を根元まで突き上げて、男の異物を何度も挿入してきたのだと確信した。人差し指まで増やしたまひるに、のはなは快楽のみ訴えた。憑き物の正鵠にでもなった具合に腰を揺すって、まひるの指……細いから、と、声で笑った。



 のはなの匂いが指に染みつくまで一つになっても、結局、恋でも愛でもない感情の正体は分からなかった。感情の正体は分からなかったが、のはなはまひるに、不可解な烙印の由来を打ち明けた。西原への不審は憎悪に変わった。憎悪は絶望にも陥った。


 何故、誰を守ることも出来ないの。


 いっそまひるは、自分が無力な少女であることを呪う。しかし誰しも少女の時を経なければ、大人になれない。大人になれる気もしないが。
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