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自由という欠落
第2章 囚われの小鳥
「おじゃましま──…わわっ姫部屋!」
「お邪魔します。あ、顔色良いみたいで良かった」
ずっと行儀良く座っていた人形を気取ったのはなが自慢の寝台から顔を上げると、会いたくて仕方のなかった友人達が訪っていた。
うっとりするほど端整な顔をいやが上に綺麗に化粧して、くすんだピンク色の髪はよくここまで伸ばしていて傷まないものだと感心するロングヘア、おそらく有名なロリィタ服のブランドから出ているカジュアルスタイルのモノトーンでまとめたまひると、のはなと好きなものが似ているだけにいつまで眺めていても飽きない装束でめかしこんだ心陽。
穏やかな一人のひとときに終止符を打った彼女らが、のはなにもたらす安らぎは、出席という義務を破棄してまで確保した清適な時間の中では得られなかったものを備える。
「心配してくれたの?有り難う」
「はなちゃん可愛い!部屋も可愛いしはなちゃんも可愛い!」
「恥ずかしいわ、はるちゃん。二人とも座って。疲れたでしょ」
「有り難う。……心陽、ちょっと落ち着こうか」
「え、ここに?もったいなくて座れない……」
猫脚テーブルに猫脚チェスト。心陽はいわゆる姫系家具の定番を手前に恐縮しながら、そのくせ、まひるがたしなめて座らせると様になった。