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自由という欠落
第10章 貴女という補い
「悪いね、のはな。お前が朝っぱらから欲求不満だとは知らなくて、仕事を片付けるのが遅くなってしまったよ」
「あ……いや……」
助けて、と、文字を打つ。その手に鈍い衝撃が入った。目の前が真っ赤に染まって、次に視界を改めると、握っていたスマートホンがクローゼットの側まで飛んでいた。
のはなは立ち上がれない。西原がのはなの太ももを抑え込むようにして、寝台に膝をかけていた。無骨な指が、おとがいを掴む。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
「何の話だ?俺はただ、可愛い婚約者に会いに来ただけだよ」
「許して……わた、私は……ぁ」
「なぁ、のはな?俺は女に学は求めない。世の中を回して、歴史を支えてきたのは男だからなぁ、いつの時代も」
「んぐ」
肉厚の唇が、のはなの呻吟を塞いだ。顎の骨が軋まんばかりの音を感じながら、のはなは男の匂いに息を止めて、西原のキスの受け皿になる。ぢゅぅぅ、と、西原の唇がのはなのそれを強く吸ったあと、濁った色の目が暗く笑った。
「ああ、のはな。愛してる。もう学校は辞めて構わないから、なるべく早く嫁に来い。女の知識は、どうせ役には立たないんだ。守られていれば良いんだからね。今日はその件をご両親にお願いに来た」
「ふっ……あ……っ」
ぞくぞくとした悪寒がのはなを嬲る。西原の手が、乳房を執拗に撫で回す。