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自由という欠落
第10章 貴女という補い


「家、行こう。それでいなければ事件に巻き込まれてるかも」

「うん、でも……行ってて、その間にはなちゃんに何かあったら……」

「他に心当たりもないし、行こ?」

「でもまひる、行って会えなかったらどうするの?どうしよう……佳乃さん、帰ってきてもらえないかな……」


 その時、LINEの通知音が鳴った。まひるはスマートフォンに目を落とす。


「え……」


 およそ四時間を空けてののはなからの返信は、まるで会話が成立していなかった。


 もう会えない、学校も辞める。ごめんなさい。


 一枚の写真が添付してあった。赤みを帯びた鼈甲色の薄暗がりを凝視すると、ぞっとするようなものが映り込んでいた。


「っ……!!」


 まひるは、画面を覗き込むなりよろめいた心陽を支える。しかし心陽はすぐに何か思いついたのか、まひるからスマートフォンをひったくると、写真をカメラロールに保存した。神妙な顔で操作を始める。


「…………」


 心陽の顔色は相変わらず死人のようだ。しかし手許は機敏に動いて、まもなくして「ホテル◯◯」と呟いた。

 のはなのスマートフォンは、GPSが有効になっていた。そこから現在地を確認して、更に、SM系の部屋が設けてあるラブホテルを割り出したらしい。幸いホテル街ではなかった。写真と一致する部屋が紹介された公式サイトを特定するまでに、手間はかからなかったらしい。



「今から行ってくる」

「待って、私も」

「ううん、まひるは出来れば──…」



 西原を別の場所へおびき寄せて、と、心陽が言った。それから彼女は、数人の男達の名前を連ねる。しかし呼び出すのは西原だけで構わない、そして彼が所持している特別注文のピンブローチをくすねるか盗撮してくれないか、と心陽は続けた。重要な事件の証拠品になるという。


「どういうこと?」

「助けたい人がいるの。その人は数年前、西原篤を中心としたグループに、強姦をされたんだ」

「え……」

「……彼女は、……暮橋、紬さん……」



 まひるは、心陽が恐慌状態に陥っていた所以を理解した。
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