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自由という欠落
第10章 貴女という補い
まひるが西原に装着させたのは、中が空洞の張り型だ。
女の窪みにあてがう用途の物ではない、かつて貞操帯が流通していたのであればペニスのそれもあるのではないかと調べたところ、マニアックなラインナップが一部の層の支持を得ているメーカーが、鉄のコンドームを出していたのだ。避妊具ではない。ただ射精を制御するだけの、拷問用具だ。
ペニスカバーは、西原の逸物を押し込みきるのに難儀した。力づくで根元まで嵌め込むと、西原はしばらく恍惚と呻吟していたが、まひるが蝋燭に火を点けると、その目の奥に期待と不安が揺らいだ。
「のはなには色々聞いています。西原さん、我慢が全く出来ない家畜なんですってね」
「くっ……ハァッ、はぁ……」
「たっぷり我慢を覚えて下さい。気持ち良いのも痛いのも、苦しいのも耐えるんですよ?」
つー……と、熱で溶けた蝋が、薄い褐色の肌に伝う。
低温蝋燭の中でも、これは生命の危機に至らない極限まで熱が上がるよう計算されている。随所に皮膚が火傷を負うほどの蝋が混ぜ込まれているのだ。
まひるは猫じゃらしの形状をした玩具で西原の乳首や恥丘をくすぐりながら、彼が喘ぎ、ごつごつした肉体が仰け反り、ペニスの自由を求める言動をする度に、持ち手で打って蝋燭を垂らす。時折、西原は咆哮した。範囲こそ狭いにせよ、皮膚は目に見えて焼け爛れた。
「あ"ぁ"あああ……!!」
現金なものだ。
のはなの乳房に、そして紬の肉体に、こんな遊戯では済まされないほどの傷を負わせて、自分は玩具で音を上げたがるのか。
「口、開けて」
「…………良い加減にしろ」
「目に垂らされたいんですか」
「っ……」
まひるは西原のひたいを掴んで、上を向かせる。
いつしか恐怖の色が強くなった顔を見ても、特に感じるものはない。