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自由という欠落
第10章 貴女という補い
いくら言葉にしても足りない想いをキスに託して、こまやかで迷いのない紬の呼び水が身体の至るところに散りばめられていっても、まひるは下着の最後の一枚を外すことを拒んでいた。
紬が恋人らしいまぐわいを求めた時、それだけでまひるはいかがわしい感覚に引きずり込まれた。夢にまで見ては朝を迎えて、現実の喪失に打ちひしがれた。焦がれていたのはうぶな少女の淡い想いだったのに、まひるの真相に潜む無意識は、淫らな欲望を持っていたのか。
ただキスして少し触れただけで濡れるような身体を、紬に晒したくない。…………
相手が紬でなければここまで早く濡れなかったにせよ、まひるは珍しいほどの羞恥に侵されていた。紬の手が、薄暗がりでブラジャーを剥いだ時さえ、見ないで……と目を伏せた。
「お洋服の中まで綺麗だったなんて、ね。まひるちゃん、異性愛者の女の子になら嫉妬されるタイプかもね」
「ぁっ、ゃ……んん!」
「声、抑えないで。私しか聞いてないんだよ?力、抜いて。ほーら」
「ああっ……」
紬は目下の少女の乳首を指の腹でこねくりながら、脇腹から腕の付け根の裏側にかけて、もう一方の手の指先でくすぐっていった。どれだけ力んでいても、力が抜ける。まひるの背が、ひとりでにびくんと仰け反った。
淫らごとに、結局のところムードなど必要ないのか。
まひるは紬の声が耳朶を転がすだけで脳が痺れる。紬の指の腹が肉叢をいじるだけで、媚薬を原動力とした電流でも流されているのかと疑ぐるほど、腰の奥がくらくらする。
「せん、ぱ……っ、あんっ、ほんとに……初めて、なんですかぁ……?んっく……」
「ほんとだよー。ヤられたことはあるけどね。強いて言えば、女の子同士のエッチなケータイ小説は読んでた」
「それ、だけで……こんなに?……ああっ」