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自由という欠落
第10章 貴女という補い
夜が明けるまでに誰もいない場所へ行くことにした。紬が焦がれた、しかし至りそびれてしまった場所へ。
その前に一度、と、紬はまひるに抱いて欲しい、と願った。
まひるは受け入れられなかった。
紬が望んだのは思い出作りという名目の、上書きだ。
彼女の痛みはいかにしても拭われまい。まひるが焦がれ慕った少女は、恋人と呼ぶ相手とであっても、対等より優位であるべきだ。
それがまひるの独善的な理想でも、一方的に紬の奥深くまでは開けない。のはなの時は、まるでそうなるのが自然だったかのように、彼女に脚を開かせたのに。
「ああっ……あ!っ、んぅ……はぁっ、ああん……っっ」
「まひるちゃん……中、じゅくじゅく……可愛い……ほんとに可愛い……まひるちゃんは、私のだよ……」
「んっ、はい……──ああっ!あんっあっ……せんぱぃぃ……っ、……」
こんなはずじゃなかったのに。
明かりを消していて良かった。紬の指が体内を泳ぐ充足感に顫えながら、まひるの腰は、あられもなく振り乱れていた。紬のわざとらしく立てる水音が、激しい。
紬が好きだ。この想いがいつか薄らいだとして、さすれば自分にやはり存在価値は見出せない。譫言のように繰り返すまひるに、紬は大丈夫だと宥める。貴女は私のものだから。