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自由という欠落
第3章 選べない貴女


 のはなは西原の靴下に指をかける。脱がせるまでには至らなかった。のはなの喉を蹴り上げた西原の足が、彼女を身体ごと近くの柱へ飛ばしたからだ。


「口でしろ!!いつも教えているだろう!!」


 申し訳ありません、深々と詫びて、のはなは西原の元へ行く。
 移動手段は膝歩きだ。西原より背丈がなくても、彼はのはなに、寝室で自分と近い目線になることは例外を除いて禁じているからだ。

 のはなは恭しく西原の片足を撫でて、唇に靴下の履き口を咥えた。何度もこなしてきたのに倣って、靴下を噛んで、ずらせて、男の素足を剥いていく。

 西原は、今度は裸足でのはなの乳房を検分した。続いて恥丘を。


「脚を開け」


くちゅ……


 蛮骨な親指が、のはなの柔らかな部分を奏でた。


くちゅ……


「淫乱な娘だ」


「ぁ、ん、」


「湿っているぞ。脳もないくせに、身体は元気だ……これだからメスは飼い甲斐がある」



 快楽など覚えない。

 汚く惨めな肉体ごと、不可視の征服に嬲り殺されそうなだけだ。


 人間の身体が脆いとは、何者が言い出したのだ。事実無根ではないか。

 この男に跪いて、いじられて、玩具になって、玩具を使ってよがらせられて、咥えろと命じられるまま、あらゆるものをあらゆる場所に突き刺されても、今日までのはなの身も心も毀れなかった。毀れることを許されなかった。


 今夜は、いかにして西原は、のはなを使うのか。…………



 寝台を鉄格子の柵が囲っていた。まもなくして西原はシーツに腰かけて、のはなを招いた。すり寄っていったのはなの鼻先に、彼のペニスが赤く滾る。
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