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自由という欠落
第4章 彩りのうたかた
思春期の少女はどこか矛盾で出来ている、と、何者かが話していたものだ。さすれば佳乃は、未だあの時代にいる。人間を重んじてもいなければ、一方で、陽子という人間に執心している。人間を重んじてもいないから、陽子を攻撃する彼らを平気で批判して、陽子という人間に執心しているから、彼女をこうして描いている。
佳乃は鉛筆による下書きを終えると、椅子を離れた。
「陽子……」
ソファに跪く。着色は連休明けにしよう。レースのアイマスクのゴム紐でたわんだ陽子の髪を愛撫して、薄く開いた唇を塞ぐ。
「んぅ……」
「んっっ」
くちゅ、と、唾液の音を立てて陽子の舌を探り出す。そして佳乃は、今しがたまで彼女を描いていた指先を、彼女の乳房の先端に置いた。ひくん。マシュマロに乗ったコットンパールが微かに顫える。今夜はまだ初めて触れた場所は、既に揉みしだいてでもいた具合に勃っていた。
「はぁっ」
「良いなぁ、陽子。気持ち良さそう。私に見られて描かれるの、そんなに興奮するんだ?」
「ゃっ、」
「綺麗な肌……。いやらしいおっぱい。私いつも見てるんだよ。職員室でも、貴女の身体ばかり見てる」
「…………おだてたって」
「って言っておけば、陽子、仕事中でもこんな風になる?」
ぢゅく…………ぺちょ……
「ぁっっ……は……」
佳乃は、大人びた口舌を操る唇の内部を舌で撫で回しながら、開きっぱなしにも関わらず乾く気配のない陽子の性器に弧を描く。幾重にも重なる肉襞をなぞって、ミルクに浸した胡桃の匂いをまとったそれを指に掬って、触れるか触れないかほどの力加減で、まるい陰核に塗りつける。つつ、と、指の腹でキスするように。大人びた声が子供じみた悲鳴に変わる。