この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
自由という欠落
第4章 彩りのうたかた


 とりどりのメニューをカメラアプリに収めると、まひるはフォークや箸を配った。通路を挟んだテーブル席で、陽子と佳乃が互いのドリンクを味見していた。メニューは三品、小皿に分けて、フォークを往来させている。

 道中、チョコレートやサブレばかりつまんでいた舌に、ハーブチキンの香味がしみる。パスタに絡みつくオリーブの効いた爽やかな味わいを楽しみながら、まひるは心陽とのはなの話に耳を傾ける。


「こういうの、初めて……。友達同士で旅行なんて、楽しいわ。はるちゃん有り難う」

「こっちこそ急だったのに、来てくれてありがと。初めてなんだ?」

「うちは、お父さんもお母さんも心配症で……」

「許してもらえて良かった。ってか、はなちゃんが海老食べてる……ご飯食べてる……可愛い……」

「あんまり、見ないで……」



 ブランチも終わりかける頃、岸田が席を離れてまひる達に歩みを進めた。


「改めて、初めまして。のはなちゃんよね?心陽ちゃんの姉とお付き合いしている、岸田佳乃です」

「はい、この度は、有り難うございます」

「ううん、ゴールデンウィーク、今年は大勢で騒ぎたかったから」

「佳乃さん一人で十分騒がしいよ」

「むぅぅ、心陽ちゃんの塩」

「あの、……はるちゃんとも仲良しなんですね」

「ええーっ。のはなちゃんには負けるよー。さっきから見てて雰囲気良す──「佳乃さん少し黙って!」


 心陽は、岸田の口を押さえかねない剣幕だ。岸田はやたらのはなに絡みたがっている。まひるはここ数年内の岸田を知らない、もとより昔も美術の授業で関わる他になかった所以、彼女のプライベートをほとんど知らないが、女の勘とやらが心陽に加勢したがっているのか。


 つと、まひるは陽子と目が合った。デザートのシャーベットを頬張る陽子は、こうして離れた距離から見ると、隙のない教師の顔のままだった。


 山本、先生。


 先生と呼ばなくなった今でも、彼女は教師だ。
/265ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ