この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
自由という欠落
第5章 始まりの同義語は多分


 部員らが菓子をつまみながら休憩時間を過ごす中、ゆき達も昔話に盛り上がっていた。


「こうして話していると、懐かしいな。真知先輩とは二年間一緒に芝居したけど、先輩とゆき、芳樹は、中学からずっとやっていましたもんね」

「そうそう、だからしよりちゃんまで入部届を出してくれた時は、ドッキリかと思った。どうしてだったの?」

「どうしてだと思いますか」

「えー、そこ秘密?」

「でも、しよりとはずっと一緒にやってる感覚。中高の頃だって、たまに私達が部活終わるまで、近くで待っていてくれたもんね。帰宅部だったのに、よく一緒に帰ったね」

「それ考えると、俺ら長い付き合いだよな」


 どうりで家族のように打ち解けたところがあったはずだ。


 ピーチ味のグミを舌に転がしながら、まひるは、ひとりでに耳に触れてくる上級生らの歓談に得心していた。のはなが同じグミを口に放って、刹那、酸味が障ったのか頰を歪めたあと、忽ち砂糖の効いた部分が広がったのだろう、口許を緩めた。


 ゆきとしよりは、絵に描いたような親友の仲だ。彼女達に加えて、芳樹らも同じ中学校にいたらしい。変わることなく、そうした観念さえ持ち合わせないで、八年九年、共に過ごしてきたのだろう。この先も、多分また。


 オセローとデズデモーナのように、婚姻関係を結んだつがいですら、その連結はうたかたのごとく破綻したのに。



 いかなる風に約束を交わして、何を引き換えに捧げていれば、繋いだ手を離さないでいられるのか。或いは生を受ける前、どんな稀少な籤を引き当てていれば、欠けるべきでないものが欠けないままでいたのだろう。
/265ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ