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自由という欠落
第5章 始まりの同義語は多分
口に残る精液の残滓。濯ぎに行きたいのに、下腹部の痛みがのはなの身体を寝台に繋ぎ止めていた。指に残る、心陽の記憶。西原に命じられるまま、彼の激昂したペニスをしごいていたのに、心陽の指の質感が、未だ消えない。唇の端が切れていた。明日も心陽に会いたい反面、西原の膨張した欲望を咥えて出来た切り傷を、あの友人の目に触れさせたくない。
今、のはなが西原に出逢っていたばかりであれば、両親に彼の横暴を訴えていたか。彼の横暴を訴えて、家同士のより深い関係より、のはな自身を労われていたか。
西原と引き合わせられた時、のはなは幼かった。西原の手が自分の身体に触れただけで、のはなは自身が変化させられた心地になった。少女の肉体が、肉体だけ大人の女にさせられたような。思春期手前で月のものにまみえた少女も、似通う羞恥を抱えていたのかも知れない。
彼の本性を明るみに出してまで、羞恥に耐えられるはずがなかった。羞恥を隠せば隠すほど、のはなは、本当に隠さねばならないところにまで至っていた。
婚約者に会う度に全裸になって、遊女のごとくペニスを慰めて、いずれ子宮に受け入れることになろう液体を飲み干している。
両親は疎か、友人にも打ち明けられる痴態ではない。