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自由という欠落
第5章 始まりの同義語は多分
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西洋風の古典的な部屋には浮いた、アジア製の近代的な液晶テレビにポルノ女優のDVDを流していると、淫らな気分が高まった。
玖美は、バス用品まで持ち込んでいた。とろみの強いラブローションに、香りを主張しすぎない花びらの形の入浴剤。
人工的な薔薇の香りと、天然のダマスクローズが仄かに香る入浴剤が、みだりがましいピンクのとろみを浴槽に張った。
「花びらって、バブルバス用だよね?もったいないかも」
「色も大して着かないからね。すぐ溶けるし。ただね、無駄遣いした分、一瞬の贅沢なものが見られる。一番風呂じゃなくちゃ花びら楽しめないなんて、なんか特別な気がしない?」
「お湯、かなり少ないけど」
「この部屋のが、こんな大きいなんて、調査不足だったよー」
薔薇を浮かべたとろみ湯に、まひると玖美は腰より下を浸していた。
浴槽は大人二人が入っても、存分に寛げよう広さがある。おそらく三人でも少し狭いだけだ。
だのに玖美は、やたらまひるにふくらはぎを絡めたがって、内股と内股に自ら挟まれんとじゃれつく。まひるはクーラーで冷えていた肩に、熱のこもったとろみを片手で浴びせていた。ぬらぬらとした艶を着て、じんわり火照ったまひるの身体に、玖美がひとしお距離を詰める。
「目のやり場に困るよ、玖美さん」
「お互い様でしょ。私もまひるちゃんを観賞する。だから気にしないで」
「余計、気にする」
「綺麗なものはたっぷり見ておかないと、歳をとった時、損した気分になってるのイヤだし」
「ひゃっ」
玖美の気まぐれな人差し指が、まひるの脇腹にちょっかいを出した。油を溶かしたスライムよろしく滑りやすくなった指先が、まひるの乳房を持ち上げる。ほとんど浮力のない浅い湯の中で、まひるは玖美の脚の重みを感じていた。しなやかで柔らかな女の重み。絡め合っているだけの愛撫がひとりでに脚を昇って、割れ目の奥を疼かせる。