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貴女に溺れて彷徨う
第1章 眠り姫は魔法で目覚める
「彼女、今は蜷島さんじゃなくて稲本さん。クリーニング店は、ご主人の自営業なんだって。ちなみに倦怠期らしくて」
「うん」
「夫婦になって毎日顔を合わせていたら、やっぱり有り難みがなくなるのかなって」
「うん」
「そこで!突然お洒落したりしたら、相手もドキッとしたりすると思わない?」
「何があったんだろうとは思うかもね」
つまり彼女は、稲本みなぎという冴えない女を、あたしが手を加えたらどうなるかと言いたかったようだ。
聞けば学生時分は生徒指導部に目をつけられたこともない稲本は、成人しても、どこを取ってもあの頃のままだという。