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貴女に溺れて彷徨う
第3章 不自由への憧憬





 学生が夏休みの期間中、あたしはみなぎの家に足繁く通った。夏期講習が終わるとあゆみの予定が立てやすくなり、主に彼女の家庭教師を引き受けるためだった。

 勉強に積極的ではなかったあたしは、同類のあゆみの傾向がそれなりに分かった。そこを踏まえて彼女の苦手教科を教えていった甲斐あって、八月の暮れには安定してショートテストでは平均点を上回るまでになった。本番まで半年を切って彼女自身にも緊張感が出てきたらしく、会う度に疑問点をまとめておいてくれるようになっていたため、あたしも復習すべき箇所を把握しやすかった。



「大雅、最近機嫌良いんだ。もしかしたらすごく自分勝手な人を選んでしまったのかも……って、不安になったこともあるけれど、あゆみのことが、やっぱり心配だっただけなのね」


 九月の上旬、あたしはみなぎの休みに合わせて有給を取って、彼女の手料理に舌鼓を打っていた。
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