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貴女に溺れて彷徨う
第3章 不自由への憧憬
「受験合格したら、ロリィタファッションだけでも許して欲しいな」
「そういうの好きなんだ?いや、好きか」
「分かる?」
「部屋とか見てると」
街やテレビで見かける、ロリィタファッションの少女達や女達。彼女らは自由の象徴だ、と話すあゆみの目は生気に潤う。
言われてみると、確かにそうだ。
一見、ジェンダー差別の産物に見えるロリィタファッションは、ひと昔前は着こなしやブランドにもことこまかな暗黙のルールがあって、同じ界隈の人間同士が互いに監視し合う風潮もあった。それが今では流行からも偏見からも隔絶されて、男が頭の天辺から足先まで手作りの品でコーディネイトしても、熱意を評価されるだけだ。
「ロリィタって、可愛いだけじゃなく格好良いよね」
「でしょ?!莉世さんお願い!お母さんを説得して」
「みなぎは普通に賛成するって」
「そうかなぁ。あー……でも、莉世さん親友だもんね。お母さんの好みとは正反対っていうか、莉世さんは派手で可愛いし。お母さん、本当はそういうの好きなの?」
「分からない。あたしがみなぎのこと好きで、つきまとって仲良くなってもらった流れだし」