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貴女に溺れて彷徨う
第3章 不自由への憧憬
* * * * * * *
どちらからともなくもう少し話がしたいと言い出して、響とあたしはロビーに出るとチェックインした。
「莉世さん、明日大丈夫なの?」
「遅番だから」
「そう。でも早めに寝ましょうね」
かくいう響は週末、休みだ。もとより親の会社を手伝っているらしく、ある程度の融通も利く。
こぢんまりしたエレベーターで身を寄せて、あたしは彼女の腰に腕を回した。
歯を磨いてシャワーを浴びると、一度はカクテルでとろんとした意識は、明瞭さを取り戻した。
あたしと入れ替わりに響が浴室へ向かうと、アメニティでスキンケアしたり髪にドライヤーを当てたりして、彼女が戻ってくるのを待つ。
スマホに充電器を差そうとした時、ひなたからLINEが入っていた。常連客とデート中であることを報告する。二年前ならそこでブロックしてくることも考えられた彼女からは、二分と経たない内に楽観的な返信がついた。
あたしは戻ってきた響にソファを勧めて、彼女の後方に場所を移す。ヘアアイロンの落ちた短めの茶髪をタオルに押さえて、あたしと同じシャンプーのはずなのに格段に匂いやかなその香りやうなじの白さに、くらくらする。
「恥ずかしいわ……」
「ヘアサロン行ったら普通でしょ?」
「身近な女性に髪を触れられるのは、恥ずかしい……」
「じゃあ、もっと恥ずかしくなるようなことは、イヤ?」
「……ぁっ……」