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貴女に溺れて彷徨う
第4章 変わらず捕まえていられたら
「みなぎも似合いそう」
「えっ?!」
「これとか」
私が目で示したのは、ワインレッドが基調のブーケ柄のワンピース。首周りのスクエアヨークやバッスルがアイボリーのレース生地になっていて、アンティークドールの衣装を彷彿とする。
「大雅が引きつけ起こすわね」
「内緒で着れば良いじゃん」
「あゆみもいるし……」
俯くみなぎとあたしの傍らを、タイミングを見計らったようにして、双子コーデの成人女性と十代半ばと見られる少女が通りかかった。顔かたちからして母娘の彼女らは、みなぎの目に、特別な星の下に生まれた人物か何かにでも映っているのか。
試着室のカーテンを開けたあゆみは、ピンク色のブラウスにペガサスとウサギ柄のピンク色のジャンパースカートといった装いに変わり、彼女に馴染みきっていた。みなぎ譲りの白い肌に、清楚な顔立ちの彼女は、こうした格好がどれだけ様になっているかと言えば、元からそれらを着用して産まれてきたのだと聞かされても信じるくらいのものだ。
素人目にもAngelic Prettyと分かる、ハート刺繍のレースが惜しみなくあしらわれた総ピンクのブラウスにも目移りしながら、それ以上にあゆみはジャンパースカートの柄がよほど気に入ったらしく、後者の方をみなぎにねだった。
「復刻でもなければ、全く同じものは二度と出ないものね。良いわ、アクセサリーはどうする?」
「うん、さっき見てたのがあって──」